御徒町凧 OFFICIAL SITE

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詩

帰ってきた五十円玉

百円玉に紛れて五十円玉があり

三百円の支払いに五十円足りない

少しだけ小さいサイズにも

特徴的な惚けたような表情にも

小銭入れの中じゃ分からなかった



消費税が上がったことで

いつも行くサウナが八百円に値上がりして

そこで買う炭酸水が百五十円で

千円札を渡せば五十円玉が帰ってくる

おかげで財布の中にこのところ五十円玉が増えた



十歳の誕生日の登校班の集合場所の手前

水溜りの中に落ちている五十円玉を拾った

誕生日の朝にこんな奇跡あるかって

今思えば凡庸な日常の出来事に過ぎないのに



ただ俺は

三十年前のその光景を今でもありありと覚えていて

異物としての五十円玉が記憶に定着している

穴の空いた硬貨は世界的にも珍しいらしいが

そんなことは当然考えもしなかった

将棋でいえば桂馬のような存在感

あの穴にストローを通そうとしたこともある



今日まで俺は

煩わしくて嫌いだった

だけどそうじゃなくなった

愛おしいと感じるようになった

二〇二〇年〇二月〇二日(日)

帰ってきた五十円玉

百円玉に紛れて五十円玉があり

三百円の支払いに五十円足りない

少しだけ小さいサイズにも

特徴的な惚けたような表情にも

小銭入れの中じゃ分からなかった



消費税が上がったことで

いつも行くサウナが八百円に値上がりして

そこで買う炭酸水が百五十円で

千円札を渡せば五十円玉が帰ってくる

おかげで財布の中にこのところ五十円玉が増えた



十歳の誕生日の登校班の集合場所の手前

水溜りの中に落ちている五十円玉を拾った

誕生日の朝にこんな奇跡あるかって

今思えば凡庸な日常の出来事に過ぎないのに



ただ俺は

三十年前のその光景を今でもありありと覚えていて

異物としての五十円玉が記憶に定着している

穴の空いた硬貨は世界的にも珍しいらしいが

そんなことは当然考えもしなかった

将棋でいえば桂馬のような存在感

あの穴にストローを通そうとしたこともある



今日まで俺は

煩わしくて嫌いだった

だけどそうじゃなくなった

愛おしいと感じるようになった

二〇二〇年〇二月〇二日(日)

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